インドレザー業界の舞台裏
革製品の生産背景を語るなかで、ふと「もしよかったら、ニアズさん(社長)や工場の様子の写真をWebに使わせてもらえませんか?」と尋ねたところ、即答でOKをいただきました。
実はこれはかなり珍しいことで、多くの工場は外部への公開を嫌がります。
今回は、その貴重な現場の一部を皆さんにご紹介します。
現地工場と職人の手仕事
工場長(社長)と創業ストーリー

工場の正式名称は INエンタープライズ。
代表を務めるのは、インド出身のニアズ=カーン(Niyaz Khan)さんです。
彼はかつて日本で生活しており、日本国内の革製品メーカーに勤務していた経験があります。
ベルトや財布を中心に、日本品質のものづくりを身に付けたのち、母国インドで独立・創業しました。
「こんなデザイン・仕様の革小物を作りたい」と伝えると、設計図がなくてもその意図を正確に汲み取り、完成度の高いサンプルを仕上げてくれる——そんな頼もしさがあります。
特に縫製やエッジの処理など、細部に至るまで非常に丁寧なのが特長です。
日本市場では、バングラデシュ製レザーアイテムの方が比較的なじみ深いかもしれませんが、インド製はまだ少数派です。
試しに母と妹に「インド製の革小物ってどう思う?」と聞いてみたら、「発展途上国っぽくて、ちゃっちいイメージ」と返されました(笑)。
でも実際、彼女たちはSTYLE=の小銭入れをインド製と知らず愛用しているんです。
工場は、インド東部の大都市 コルカタに位置しています。
歴史と文化が息づく土地で、腕の良い職人が多く集まる地域です。
革製品の製造工程と職人の姿

革を必要なパーツ形状にカットしていく、最初の工程です。
前方の若い職人が集中して作業にあたっている姿が印象的でした。

こちらもパーツの切り抜き工程の一幕。
スポンジのような素材を扱っており、職人さんの表情が真剣です。
しかもイケメン!(筆者の主観です)なぜかこの方だけキャップ着用で、ちょっと気になります。

缶のような容器が見えることから、これは革の裏にスポンジ素材を貼り付けている工程かと思われます。
手触りや柔らかさを出すため、革と革の間にクッション材を挟み込む工夫がされています。

財布の縫製中の様子。二つ折りのフォルムがきれいに形づくられています。
ラフさを感じさせない、整った美しい工程です。

女性職人の姿も印象的でした。
コルカタは隣国バングラデシュに近く、保守的な価値観の地域ですが、こうして女性が活躍しているのを見ると時代の変化を感じます。
おわりに
今回の訪問で印象に残ったのは、手仕事による温かみでした。
オートメーションが進んでいないからこそ、職人の技術が存分に生きているのです。
価格はもちろん重要な要素ですが、私たちSTYLE=が最も重視するのは、デザインと品質。
その2つがあってこそ、価格に意味が生まれます。
これからも、現地の技術を尊重し、職人の手のぬくもりを感じられるモノづくりを続けていきたいと思います。
